076995 ランダム
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Lee-Byung-hun addicted

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ball machines <1>

ball machines 1


「エヘヘヘ・・・もう・・エッチ!」

揺は嬉しそうにそう笑うと彼に体当たりをした。

「え?何が?あ~~揺ちゃん・・また凄くイヤらしいです」

からかうような顔つきで彼が切り返す。

「もう・・・ビョンホンssiのバカ!・・トイレ行ってくる!」

揺は口を尖らせてそういい残すと足早に空港の化粧室に向かった。

「全く・・・からかい甲斐があるんだよな・・」

彼女の後姿を嬉しそうに眺める彼だった。

揺を待っている間、手持ち無沙汰に周りを眺めていると

ちょっと変わったものが目に留まった。

「なんだ?あれ」

彼が興味を示したのは空港の階段の踊り場に置かれた風変わりなオブジェ。

ピンポン玉大のボールが転がっていろいろなコースをたどって落ちてくる。

中には下まで落ちることなく、途中で止まっているボールもある。

綺麗なシロホンの音が流れるコースもあれば、
ほとんど寄り道もせず、まっすぐ下降するだけのコースもある。

スタートラインは同じなのに・・・どこに転がっていってどんなことをして、
どこにたどり着くのか・・・・神のみぞ知るということなのか・・・・。

ビョンホンは興味を示して近づいてくる子供と一緒にそのオブジェに見入っていた。

「嫌だ・・・どこ行ったかと思った」

化粧室から戻った揺はだいぶ彼を探したらしい。

「どうしたの?・・・へぇ~こんなのあったんだ・・気がつかなかった。
面白いね。可愛いし・・・・」

そう言って微笑む。

「揺・・・」

「ん?」

「これ、欲しい」

「ちょっと・・・子供じゃないんだから」

揺は苦笑した。

「だって・・見てるとさ・・飽きないっていうか・・落ち着くって言おうか・・
いろいろ考えるっていおうか・・」

「はいはい。じゃ、今度ね。さ、帰ろう」

まるで子供に言い聞かすようにそう言い、揺は彼の手を取って階段を降りる。

彼はまだ未練があるようだ。

後ろを振り返ってオブジェを名残惜しそうに眺めている。

「ほら、階段から落ちるわよ。何か時々子供みたいなのよね・・」

揺はそうつぶやきながら先ほどのオブジェをもう一度振り返った。

「Rhoadsね・・・・・人の名前かしら」





「ビョンホンssi・・・おはよう・・・」

次の日の朝。

前の晩、アパートメントに泊まってゆっくりマッサージを受けた揺は
やさしく彼におはようのキスをした。

「う・・・・ん」

彼はまだ目を瞑っている。

「もう・・ビョンホンssi・・朝だよ。ほら起きないと・・・」

揺り動かそうと彼の身体に掛けたその手を、
眠っていたはずの彼が不意につかんだ。

「つかまえた」

彼は片目を開けてそういうと悪戯っぽく微笑んで揺をベッドに引き込む。

「ちょっと・・もう起きないと間に合わないよ」

慌てる揺の胸に

「あとちょっと・・昨夜のマッサージの続きを・・・」

彼はそういいながら顔をうずめた・・・・・。

「もう・・・だめだって・・・みんな起きてるし・・」




「・・・・・・」

「・・・・・・」

食器の音が響く。

ビョンホンは何事もなかったように上機嫌で卵の白身をくわえている。

「今日は何か・・いい天気ね。
あ・・ヒョン・・お塩・・・ビョンホンssi・・お水飲む?
・・あ・・ご飯お代わりは?」

今朝のあの声が聞こえたんじゃないか・・

不安で仕方がない揺は必要以上に多弁だった。

「揺ちゃん・・」

ヒョンと揺に呼ばれるマネージャーが笑って声をかける。

「ん?」

「大丈夫。気を使わなくていいよ。」

「え?ああ・・いや、別に私は何にもしてないから・・朝からそんな・・ねぇ?」

真っ赤になってうろたえる揺を見て、ビョンホンは口の中のものを噴出して笑った。

「ちょっと・・・汚いな・・ビョンホンssi・・」

揺は作り笑いを浮かべて慌ててテーブルを拭くと、
彼の背中を思い切り叩いた。


「いってらっしゃい・・」

簡単なランチを持たせてビョンホンたちを送り出した揺はその場にしゃがみこみため息をついた。

「朝からどうしてこんなに疲れてるんだ・・・」



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